大人の女性におすすめなエッセイ5選

若いころは、エッセイに興味がありませんでした。

他人の日記を見ているようで、面白味がわからなかったのです。

それが20代後半ごろから好きな作家のエッセイを少しずつ読み始め、30代半ば以降はエッセイ好きに転じました。
「生き方」と「生活」に向き合いはじめたことで、特に女性作家のエッセイを手にすることが多くなったように思います。

女性は20代後半あたりから、ライフステージが目まぐるしく変わります。

十人十色の人生を歩む中で周りに同士を見つけにくくなりますよね。

そんな時、エッセイは思いがけず寄り添ってくれます。

大人の女性とエッセイは、相性が良いようです。

というわけで、今回は大人の女性向きの、おすすめエッセイをご紹介します。

読む人を選ばない、読みやすいエッセイを5冊。

大人の女性におすすめ エッセイ5選

ジーノの家

私をエッセイ好きにした一冊。

本書のあまりのおもしろさに衝撃を受けてから、著者のエッセイ本を買い漁り読み漁りました。

今も新刊が出るたびに嬉々として予約するほどファンです。

内田洋子さんはイタリア在住40年以上のジャーナリストで、若かりしころ単身ミラノに乗り込み通信社を立ち上げた超絶かっこいい女性です。

本書はエッセイストクラブ賞と講談社エッセイ賞をW受賞した名著、著者の代表作。

都会と田舎、男と女、イタリア人の熱気とロマンと哀愁。 著者のエッセイはどれも、生のイタリアを切り取った短編小説のような世界をみせてくれます。

もし内田洋子作品に触れていない人がいれば、ぜひ本書から試してほしいです。

旅行本やInstagramのオシャレな世界とは別角度のイタリアへの扉が開きます。

おつかれ、今日のわたし

パーソナリティとして大人気のジェーン・スーさんが送る、セルフケアエッセイ。

OVER THE SUNという大人気ポッドキャストで著者を知った方は多いのではないでしょうか?

かく言う私もその1人で、番組内で文書を書く仕事をしていると知り本書を手に取りました。

くどくもなく重くもなく雑でもなく説教臭くもなく、それでいて空気砲で撃たれたような確かな響きがある。まるでお姉さまに肩を優しくポンポンされているような気持ちになります。

疲れた日に、己を労るのは己しかいない夜に、そっと寄り添い加勢くれるエッセイです。

令和をサバイブする大人の女性に、そっと差し出したい一冊。

伯爵のお気に入り

タイトルの可愛らさに思わず手が伸びてしまう、向田邦子のエッセイ。

女が書く『女は〇〇』の傑作エッセイ集です。ちなみに伯爵は、飼い猫の名前。

今の時代、主語を大きく書き過ぎることは批判されるでしょうが、そうは言っても性別や年齢による人間の生態は消えたわけじゃなく存在しています。

それを敏感な部分に標準を合わせて封印するのは、勿体無いと思う自分がいます。

だってこんなにも本書はおもしろい。

自虐文化だけが発達するのは勿体無い。

5章に短篇1本。誰でも1つくらいは「わかる〜」と声に出てしまうものがあると思います。

周りに同士がいない気持ちのとき、自分だけが少しずれているような孤独感を感じたとき。昭和という一時代を走り抜けた女性が送る「女」の中に、同士が見つかるかもしれません。

私はとくに『手袋を探している』が好きです。わかる〜と声に出して読みました。

40歳だけど大人になりたい

人生の折り返し地点で理想と現実のギャップに立ち尽くす、大人になれない中年世代に送られるエッセイ。

ターゲット層が限定的かもしれませんが、自分と社会のズレは少なからず誰しもが持っているだろうと思い抜選。

著者はアラフォー独身都内在住、あらゆる意味での不器用さと不適合さを自認しています。 わたし自身は共感する部分が非常に多くて胸がキュッとなりました。(語彙力。笑)

身につまされる話と、歪み倒した愛しさと、一見乱暴に見える言葉の行間に垣間見える筆力と優しさと弱さがたまらなく好きでした。

傷付いて悩んで生き抜いてきたんだろうなと、胡散臭さのない文章を読んでいて思います。

軽快で読みやすく、単純におもしろい一冊。

本を読んだら散歩に行こう

最後は村井理子さんの読書案内兼エッセイをご紹介します。

村井理子さんは滋賀県在住の翻訳家でありエッセイスト。

家族に関するエッセイが有名で、親の介護や疎遠だった兄が鬼籍に入った際の片付けなど、比較的リアルでヘビーなエッセイが多いです。避けては通れない、でも誰しもが直面したときに戸惑い、迷い、立ち止まってしまう。そんなテーマを淡々とユーモアを交えながら赤裸々に記してくれるので、あるときは指標に、あるときはエールになる、そんなエッセイが多いです。

本書はその中でもヘビーではなく、日常のエッセイに本紹介を交えた一冊です。

読書家の話す「本の魅力」って面白いですよね。本紹介に終始せずエッセイのラスト数行でさらりと紹介しているのも、くどくなくて良いです。

おわりに

いかがでしたでしょうか。 今回は読みやすいものを選びましたが、自分の趣味に合わせると白洲正子も外せません。ただ、本を読み慣れないと読了は不可能だな、と思い断念…。どこかで記事を書きたいです。 作家を被らないように選んだけど、やはりエッセイは内田洋子のエッセイがずば抜けて面白いです。

エッセイはひとつひとつの話が短めなので、すきま時間に読めるのもいいですね。

それでは、素敵な読書タイムを。

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